産業クラスター計画概要と今後の課題
「エネルギー・環境関連ビジネスの推進について」
近畿経済産業局 村木参事官
1.産業クラスターとは
・ある特定の分野に属し、相互に関連した、企業と機関からなる地理的に近接した集団である
(マイケル・E・ポーター)
2.従来の地域産業集積、単なるネットワークとの違い
・企業だけでなく、大学や関連機関を含む
・協調的なネットワークだけでなく、競合関係を含み
・コスト削減メリットだけでなく、知的創造のシナジー効果が大
・イノベーション志向であり、自己組織的発展が可能
↓
地域のポテンシャルを最大限に活かし、世の中のニーズを満たす研究技術開発を推進するとことを目指す
産業クラスターの形成
【産業クラスター概念】
時代背景
・バイオ等の技術革新の中で、地域の中堅・中小企業が、企業間、産学、大企業等と連携して、世界市場を目指した新技術・新商品開発に取り組む時代が到来。
・国際競争の激化、系列の崩壊の中で、地域の中堅・中小企業が生き残るには、新たな事業に挑戦することが不可欠。
産業クラスターの意義
・こうした中、地域経済の活性化を図るためには、地域に集積する中堅・中小企業、大学等の研究者が活発に交流し、かつての系列に代わる水平の連携関係を構築して、共同の技術開発、新事業展開等を図る新たな産業集積(産業クラスター※)を形成することが大変効果的。
政策的取り組み
・経済産業省では平成13年度からクラスター計画を推進
・海外でも、米国、ドイツ、フィンランドなど多くの国で産業クラスターの形成が進められている
※「クラスター」とは、本来「ブドウの房」の意味。ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授が地域の競争優位を示す概念として提唱。
【産業クラスター計画を推進】
・地域の研究開発能力、産業集積の特徴を踏まえ、全国19の広域的地域・産業分野について、産業クラスター形成を目指すプロジェクトを推進。
・経済産業局の職員(約500名)が、新事業に挑戦する地域の中堅・中小企業約5.800社、220校を越える大学の研究者等と緊密協力関係を構築。
・産学官のネットワークを形成するとともに、各種支援対策を総合的・効果的に投入することにより、世界に通用する新事業が次々と展開される産業クラスターの形成を促進。
・具体的施策内容は以下のとおり
1.地域における産学官のネットワーク形成等
-研究会・交流会・セミナー等の開催
-電子メール・ホ-ムページによる情報の提供・交換
-コーディネータによる産学官・企業間の交流連携促進
-専門商社の紹介等販路開拓支援
-民間による産業クラスター形成の中核となる推進組織の活動を支援
-大学発ベンチャー企業への経営面の支援を強化
2.地域の特性を活かした技術開発等の推進
-地域における産業官コンソーシアムによる研究開発
(採択件数 90件 (平成15年度当初予算))
-中堅・中小企業によるリスクの高い実用化技術開発の支援
(採択件数 63件 (平成15年度当初予算))
3.起業家育成施設の整備等インキュベーション機能の強化
-産業連携の中核となる大学連携型起業家育成施設の整備
【関連予算】
・15年度当初予算:413億円 16年度概算要求:552億円
【関連施策との連携】
文部科学省(知的クラスター創成事業)との連携 全国15地区の研究機関の集積における基礎研究の成果を、同じ地域の産業クラスターにおいて実用化・事業化
○関係地方自治体と経済産業省、文部科学省の両省が参加する「地域クラスター推進協議会」を地域ごとに設置。
○地域毎に両省の事業の成果に関する「合同成果発表会」を年1回程度開催し、参加者の間で情報交換を行う。
金融庁(地域金融機関)との連携
「産業クラスターサポート金融会議」が、全国11ブロックで設立 地方自治体との連携(構造改革特区制度の活用を含む) 各自治体の施策と相互補完的に連携するとともに、特区における規制改革の効果を活用して新事業を発展する企業を、同じ地域の産業クラスターにおけて支援。
例)先端医療産業特区構想(神戸市)、←近畿バイオ関連産業プロジェクト
福岡アジアビジネス特区構想(福岡県、福岡市)←九州シリコンクラスター計画
産業クラスター計画(~近畿エネルギー・環境高度化推進プロジェクト~)の概要
【1】目的と狙い
・ 本プロジェクトでは、エネルギー・環境関連産業と地球環境に優しいエネルギー高度利用社会の実現を図るため、近畿地域の強みを生かす重点5分野を中心に産学官連携や異業種交流を促進し、大企業からのスピンオフ型ベンチャーや大学発ベンチャー、技術力のある中堅・中小企業等の事業化に結びつくプロジェクト化支援を行い、新たなイノベーションを創出するネットワークを形成し、世界に通用する新事業が展開される産業集積を生み出すことを目的とする。
【2】近畿地域におけるエネルギー・環境関連ポンテンシャル
(1)技術開発ポンテンシャルの高さ
・近畿地域は、
1.活力のある中堅・中小企業
2.研究・技術開発を支える大学・高専及び試験研究機関
3.高い技術開発能力を有する重厚長大型メーカーの研究所が多数存在。
・産学官連携活動も活発であり、エネルギー・環境分野における技術開発力は非常に高い。
(2)エネルギー・環境分野の強み(重点5分野)
◎太陽光発電:近畿の主要企業が世界の40%強のシェア
◎燃料電池(水素:家庭用燃料電池のリーディング企業の水素の製造運搬・貯蔵技術保有企業の存在。
◎二次電池:有力企業の存在
(世界製造シェア【ニッケル水素電池:53%】、【リチュウム乾電池:42.5%】)
◎コージュネレーション:コージュネレーションシステムの設置件数(約900件、全国比25%】が日本一
◎環境分野:環境関連トップメーカーが多数存在
〈参考〉政策的要請
1.京都議定書(1997年)に基づく1990年比6%のCO2削減(地球温暖化対策)
2.総合資源エネルギー調査会が、平成13年7月、「今後のエネルギー政策について」をとりまとめ、2010年の新エネルギーの導入目標等を設定。
【目標設定値(2010/1999年[KW])】
太陽光発電(約23倍)、燃料電池(約183倍)、天然ガスコージュネレーション(約3倍)等。
3.新産業創造戦略(2004年5月)において、「燃料電池」、「環境・エネルギー機器・サービス」を重点新産業分野に位置付け。
【3】本プロジェクト推進体制
NPO法人 近畿エネルギー・環境高度化推進ネットワーク(省略:NPO-EEネット)【中核推進組織】
○参加企業133社
○参加協力機関等
・大学・高専:7
・公的研究機関:3
・産業支援機関等:14
・個人:3
○コーディネーター・アドバイザー ・16名
○NPO-EEネットの体制
「NPO-EEネット(NPO-Energy Ecology Network)」(H16.4設立)
【4】活動実績及び今後の目標
●平成14・15年度活動実績
【連携促進事業】
◆フォーラムの開催:21回延べ3.625名参加
◆交流会の開催:13回、延べ960名参加
◆個別プロジェクトの形成:12プロジェクト
(延べ中小企業58、大企業43名、大学14、研究機関6、支援機関3、計124組織が参加)
【ネットワーク形成事業】
◆企業訪問:延べ289社、研究者等訪問(大学等):延べ138機関
【情報提供事業】
◆メールマガジン発信件数:20回
◆成果発表会等の開催:12回、延べ2.000名参加
●技術開発支援施策の平成13~15年度採択実績68件(のべ75社、22大学、約22、2億円)
○平成16年度活動計画と目標
◇活動計画:平成14、15年度と基本的に同様。
◇目標:クラスターコア(新事業・新産業創出を目指した研究開発グループ等)の創出のための個別 プロジェクトの推進。
現在までのプロジェクト実績(H14~)
1.新方式太陽電池の基礎開発
2.燃料電池システム部品実用化推進研究所
3.分散型太陽光水素製造装置の開発
4.鉛電池研究会
5.急速充電器プロジェクト
6.隣組コジュネレーションシステム研究所
7.風力発電研究所
8.自然エネルギー発電制御システム開発
9.有機肥料とマルチエネルギー自給システムによる循環型社会の構築事業化提案(エコハウス実用化開発)
10.資源循環型青果物ロジステックス事業家研究会
11.太陽熱・地熱発電研究会
12.アルミハイドロ反応による高圧水素製造と水素直噴ディーゼルエンジンCGS
その他、豊富な資料に基づいて約60分詳細な説明がありました。