近畿地域の経済情勢及び活性化
近畿財務局 経済調査課長 村田明彦
1、近畿管内の経済情勢について
(総括判断)~回復している
当局の経済情勢報告(四半期毎)においては、昨年10月、総括判断を4期ぶりに上方修正し、「回復している」としている。
(個人消費)~総じてみると持ち直しが続いている
乗用車の登録台数は前年を下回っているが、大型小売店販売額は飲食料品が好調に推移、コンビニ販売額は堅調に推移、家電販売額も薄型TVや携帯電話が好調、旅行取扱額も前年を上回った。
(設備投資)~前年を大幅に上回る見込みとなっている
製造業では、電気機械や鉄鋼などで能力増強投資が拡大。
非製造業では、電気・ガス・水道、建設などで維持更新投資拡大。
(輸出)~好調に推移している
産油国等向けの鉄鋼やメキシコ等向けを中心に薄型テレビ用パネル等の音響・映像機器部分品などが増加。
(生産活動)~堅調に推移している
金属製品や電子部品・デバイスなどで減少しているものの、化学や鉄鋼などが増加。
(雇用情勢)~改善している
有効求人倍率はおおむね横ばいながら高水準で推移。
完全失業率は6か月連続で前年を下回っている。
2、企業における雇用・賃金体系の動向等について
(1)雇用の現状 雇用者数は、16年を境に増加に転じている。
・ 臨時・日雇雇用者数は依然高水準で推移している。
・ 常用雇用者数は18年に増加し、12年の水準近くまで回復している。
(企業等の「生の声」)
多くの企業で、非正規社員を活用する一方で、積極的に正規社員を確保する動きも。
〇 業績の好調を背景に、現場で不足している人員について、正社員の採用で増やしている。(鉄鋼、一般機械)
〇 継続的に技術・技能の伝承を行う為に、退職者の再雇用、新卒者の採用増で対応予定。(一般機械)
〇 部品製造に必要な熟練の技を、熟達者から若手へ技術伝承をしていくには、一定の時間・経験が必要であることから、正社員を採用している。(金属)
中小企業は、大企業の大量採用等により、人材確保が困難に。
〇 景気回復による大企業の大量採用等により、ますます中小企業の人材不足が深刻化。(商工会議所)
〇 従来にも増して技術職を中心に新卒の採用が困難。代わりに中途採用で対応。(一般機械)
〇 求職者の正規雇用指向に強まり。
求人側もそれに合わせて求人を正規に切り替えている模様。(公共職業安定所)
(2) 賃金の現状
雇用者所得は、18年から増加している。
・ 一人当たりの定期給与は減少傾向が続く一方で、ボーナス等特別給与は増加している。
(企業等「生の声」)
成果・業績主義を導入する企業は増加。しかし、所定内給与の引き上げには慎重。
〇 年功要素を廃止。成果・業績重視の処遇体系を実施。(窯業、情報通信)
〇 賃金理念は「成果主義」と考えるが、現実には年功等も含めた総合判断で決定している企業が多いのではないか。(運輸)
〇 賞与総額について、業績との連動性を強めた。(一般機械、運輸)
〇 中小企業はバブル期の賃上げで痛い目に。その経験から所定内給与の引き上げには非常に慎重。(商工会議所)
中小企業には賃金体系の未整備という、特有の問題も。
〇 賃金体系やルールが明確でないところが多い。企業の多くは同業他社との横並びで賃金を決定。(商工会議所)
〇 中途採用と既存社員との公平性確保もあり、賃金体系の見直しを求める企業は増加。中小向けの賃金セミナー等も盛況。
しかし、体系変更や成果主義導入に踏み切る企業は少ない。(労働局)
(3) 雇用・賃金動向の個人消費への影響
(現状)
雇用
・企業が好調な業績を背景に、正規雇用での人材確保の動き。
・労働需給はタイトに。
賃金
・雇用者へは賞与の形で波及。
・初任給引き上げの動きも。
「所定内給与が伸びない中、ボーナスが増加しても、来年はどうなるかわからないという状況のもとでは、個人消費は盛り上がらない」との意見。
(先行き)
労働需給のタイト感から、初任給・賃金に波及。
〇 ボーナスが増えた、初任給もパートの時給も上がった、求人も逼迫している状況が続いている。
そのことから考えると、そのうちに消費も増加してくるのではないか。(商工会議所)
〇 個人消費も、雇用・所得環境の改善を通じて回復傾向が明確化していくことに期待。(電気)
3、地域における人材育成について
(1)地方公共団体、企業等との連携による人材育成について
・ 地方公共団体、教育現場と企業の連携による、ものづくり人材育成の取組みが 行われている。→雇用増や技能伝承に一定の成果。
・ 教育現場と企業の連携による、ものづくり人材育成・技能伝承
(2)生活支援ロボット産業拠点の形成に向けた人材教育
関西の技術的集約などを活用し、生活パートナーロボットの産業化への取り組みが進行中。
(期待されること)
〇 関西をロボットの研究開発拠点に
梅田北ヤード(2011年街開き)に、次世代ロボット研究開発拠点設置が計画。
「ロボットの街・大阪」の拠点として期待。
〇 中小企業の活性化
次世代ロボットは最先端の技術とものづくり技術を融合させるものであり、幅広い裾野への波及効果に期待。
(実現に向けて次のような人材育成への取り組みがある)
・即戦力の育成
実践に向けた取り組み→起業セミナー等の実施、新たな人材育成ニーズへの対応
・橋渡し役の育成
消費者と技術者を結ぶための取り組み
・次世代に育成
人材の裾野を拡げる取り組み→工科高校等におけるロボット学習の実施
4、近畿管内における都市再開発及び地価動向
(1)大梅田(大阪駅周辺)周辺の開発プロジェクト
梅田地区では、梅田北ヤード開発をはじめ、「新北ビル」(JR大阪駅)や「新梅田阪急ビル」(阪急百貨店)などの建築プロジェクトが活況を帯びている。
(2)水都・大阪の新たなまちづくり-中之島地区周辺都市再開発
〇再開発ラッシュの中之島 中之島地区では、平成21年春に京阪中之島線が開通するため、再開発の流れに歩調を合わせた有力企業によるオフィス等の建替えが相次ぐ
〇国有地(阪大病院跡地)の再開発(水都・OSAKA&プロジェクト)
・ 「水都・大阪」再生の象徴、中之島のゲートとして新しい複合拠点を形成
・ (独)都市再生機構が事業企画提案方式により民間事業者を誘導3つの機能を備え水辺環境を活かした街づくり
(3)大阪圏の地価動向について
〇大阪圏の地価動向
・ 景気回復基調、不動産証券化の広がり→「地価の二極化と個別化」が進展
・ 平成19年地価公示(上昇率1位と下落率1位の市町村)
住宅地:兵庫県芦屋市(8.8%)大阪府岬町(▲6.8%)
商業地:大阪府大阪市(15.0%)奈良県大淀町(▲4.4%)
〇大阪市内の地価動向
・ 商業地地価(大阪市内最高地点)は対前年比約40%上昇
・ オフィス空室率の低下、オフィス賃料の下げ止まり
→不動産投資環境の改善
→Jリートや私募ファンド等不動産投資額が増大
→商業地地価の押上げ
(参考)大阪のJリート投資残高:5,883億円(H19.1)
・ 今後の地価動向
現在の地価上昇は、概ねオフィスやマンションの実需に基づくもので土地の収益性を反映したもの、今後もオフィスの建替需要や規制緩和、再開発等の動きが見られることから「上昇の余地あり」
5、太陽光発電、太陽電池の生産拠点
(1)世界で導入が進む太陽光発電 (欧州)
〇 世界の導入量、05年ドイツが世界1位に
〇 再生可能エネルギー法(ドイツ)が拡充され、太陽光発電からの買取価格を優遇。
〇 同制度は仏、伊、スペイン、ポルトガルなどに波及
(日本)
〇 ドイツと並ぶ世界最大の導入量(1,422MWは最大級の原発1基分相当)
〇 日本は世界最大の太陽電池の生産国、世界シェア48.2%。国内生産額3,900億(05年)。
07年は4,500億円の予想。
〇 近年、海外向けが増加。約2/3は輸出
(米国)
〇 原油高背景に各州で太陽光発電の最低割当を電力会社に義務付ける動き
〇 導入トップはカリフォルニア州。知事主導で2017年までに3,000MWの導入目標
(2)世界一の太陽電池生産拠点 近畿
〇 太陽電池生産量、世界トップ5社うち、4社が近畿に生産拠点
〇 近畿の生産量は、世界シェア4割・国内シェア8割を占める
・世界1位 シャープ ・世界3位 京セラ ・世界4位 三洋電機 ・世界5位 三菱電機
上記4社の生産能力合計は、05年時点の870MWから07年に1,370MWに増強
6、地域活性化について
(1)経済・社会の大きな変化 ・少子高齢化 ・「団塊の世代」の大量退職 ・人口減少社会へ ・高度経済成長から安定成長へ
・国際化 ・財政事情 ………など
(2)地域活性化のために
・「有名なもの」だけではない ・「その地域ならではのもの(固有、稀少など)」を活かす工夫を
・総合的、継続的な仕組みづくり ・新たな担い手 ・情報発信 ・各種支援施策
………など
(詳しい資料が必要な方は事務局迄)